top of page

神父さんのおはなし

悪の心のビッグバン 2024年3月
先日漫画家の鳥山明氏が永眠されました。私はまさに鳥山明氏の漫画で育った世代で、 物心ついたころにドラゴンボールの連載が始まり、鳥山明&週刊少年ジャンプ全盛期を過ごしたと言っても過言ではないでしょう。

さて、そんな鳥山明氏の「ドラゴンボール」で、少年時代の私が戦慄を覚えた敵が登場します。 ピッコロ大魔王でもなくフリーザでもなく。それは 「アックマン」。ドラゴンボール読者でも 「え、 誰だっけ?」 となりそうで すが、アックマンはまだドラゴンボールがほのぼのコメディ漫画の匂いを残していた、悟空の子供時代の敵キャラです。このアックマン、 「アクマイト光線」 という必殺技を持っており、これはこの光線を当てられると人間が誰しも持っている 「悪の心」 がどんどん膨れ上がり最後に身体が爆発四散してしまうという恐るべき技なのです。

「どんなによい子ぶったやつにも絶対に少しは悪の心がある。そのわずかな悪の心をどんどん膨らませれば爆発を起こす。お前はこっぱみじんになって死ぬのだ!」

・・・・なんと恐ろしいことでしょうか。わりと「よい子」だった私はアックマンのこのセリフに恐怖しました。結局無邪気な悟空には「悪の心」が無く光線は不発に終わり、アックマンは倒されますが、しかし 「どんなやつにも絶対に悪の心がある」 というアックマンのセリフは私の心に残り続けました。

私たちは多くの場合は、普段から悪の心を剥き出しにして生きているわけではないと思います。しかし よくよく覗き見れば そんな私たちの心の 中にも、「利己主義」「嫉妬」「恨み」「傲慢」「卑屈」「欲望」「憎悪」など「悪の心」が存在しているのが見えるでしょう。 私たちが悪に傾くとき、心の中ではその悪の心が膨れ上がっており、しまいには自分で制御できないほどの大きさに なって、「やさしさ」や「冷静さ」という「善い心」を圧し潰していってしまいます。そうなると悪い感情のままに暴走し、最後には自分も他者も傷付けて結局誰も得をしないという状況を招きます。それは「アクマイト光線」を当てられた人が膨れ上がった悪の心で爆発してしまうのと同じなのです。

残念ながら堕落し、完全な存在でない私たちには「悪の心」があります。大切なのはそのことをしっかり理解して認め、その心を安全に制御するためには神の助けが無ければならないと痛感することです。悪魔はしばしば私たちの心に 「アクマイト光線」を照射してきます。 これ自体は避けられないことです。ですから私たちは悪の心が湧き上がってきたらすぐにそれに気付き、直ちに神の助けによって悪の心の膨張を止めて下さるように祈らなければなりません。悪の心の膨張は誰しも起こる避けられないことですが、その膨張に気付くか気付かないかがその先の結果を分けます。
くれぐれも 「アクマイト光線」で「こっぱみじん」にされてしまわぬよう。

bottom of page